初稿:2022.5.23
更新:2024.1.23
目次
1,普通養子縁組と特別養子縁組
養子縁組は、養親と養子との間に法律上の親子関係をつくり出す制度です。
養子縁組には、
①縁組後も実親子関係が存続する「普通養子縁組」
②縁組により実親子関係が終了する「特別養子縁組」
の2つがあります。
特別養子縁組は、こどもの利益のために特に必要がある場合に限り、家庭裁判所の手続により成立します。
また、普通養子縁組であっても未成年者を養子とする場合には家庭裁判所における許可等が必要となります。
(法務省HPより引用)
2,普通養子縁組をするための主な要件や効果
‣主な要件
- 養親は20歳以上でなければなりません。
- 養子縁組をするには、養親本人と養子本人の合意が必要です。養子が15歳未満の場合には、養子の法定代理人(親権者等)が、養子本人に代わって養子縁組の合意をします。
- 養子縁組は、市区町村の役所への届出によって効力を生じます。
- 養親又は養子に配偶者がいる場合には、原則として、その配偶者の同意が必要です。
‣主な効果
- 養親と養子は、お互いに相手を扶養する義務を負います。
- 養子の氏が養親の氏に変更されます。
- 養親が死亡したときは、養子は養親の相続人になります。養子が死亡したときは、その養子に子や孫などがいなければ、養親が養子の相続人となります。
‣離縁
- 養親と養子は、協議により離縁することができます。
- 養親又は養子は、養子縁組を継続し難い重大な事由などがあれば、家庭裁判所に離縁の訴えを提起することができます。
3,未成年者を養子縁組とする場合
(1)未成年者養子縁組の手続き
A. 家庭裁判所の許可
未成年者を養子とする場合には、市区町村への養子縁組の届出の前に、家庭裁判所の許可を得る必要があります。
ただし、養子が、①配偶者の子(いわゆる連れ子)や孫など、または②自己の孫などであれば、家庭裁判所の許可は不要です。
B. 配偶者との共同縁組
配偶者がいる方が未成年者を養子とする場合には、配偶者とともに縁組をする必要があります。
ただし、配偶者の嫡出子を養子とする場合、又は配偶者が意思表示できない場合には、配偶者とともに縁組をする必要はありません。
C. 法定代理人による代諾と監護者等の同意
15歳未満の子を養子とする場合には、養子の法定代理人が、養子本人に代わって縁組を承諾します。
この場合に、法定代理人以外に、①養子の父母で養子を監護すべき者や②親権を停止された父母がいるときは、それぞれの者の同意を得る必要があります。
(2)未成年者養子縁組の効果(氏、扶養義務、親権者等)
養子縁組が成立した場合、養子の氏が養親の氏に変更され、養親と養子との間に法律上の親子関係が成立します。
したがって、養親子間には、互いの生活を支えあう義務が生じることになります。
また、養子縁組が成立した場合、養親が養子の「親権」を行使することとなります。
「親権」は、権利だけではなく、養親の義務でもありますので、養子の利益のために、養子の面倒を見たり、財産を管理したりする必要が生じることになります。
(3)実親と養子との関係について
普通養子縁組が成立した場合であっても、実親と養子との間の親子関係は存続します。
それぞれの家庭によって様々な事情があるでしょうから一概にはいえませんが、養子縁組後も養子と実父母が適切な形で交流することが、養子の健やかな成長にとって重要となる場合もあり得ると思われます。
(4)里親との違いについて
未成年養子縁組と似た制度として里親制度があります。里親が、法律上の親子関係を生じさせるものでないのに対し、養子縁組は養親と養子との間に法律上の親子関係を生じさせるという違いがあります。
養子縁組は、養親が親権者となり、養子の養育に対して法的に責任を負うことになります。
4,普通養子縁組の解消
養子縁組を解消するには、養親子間の合意に基づいて市区町村に協議離縁の届出をするか、又は、離縁の訴えを提起する必要があります。
特に未成年の養子の離縁は、養子の養育に重大な影響を与えるため、養子の利益に配慮して慎重に検討する必要があります。
5,まとめ
養子縁組は、子どもにとって新しい安定した環境での生活、養親にとっては愛情や責任を持って子どもを育てることになります。
地域によっては手続きや要件が異なるため、具体的な制度に関する情報は地元の法的な機関や専門家に相談することが重要です。
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