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相続手続きをスムーズにさせる遺言執行者という制度

2021.9.22作成

2023.10.22更新

 

 

遺言執行者は、遺言の内容を実現するために相続関連の手続きをする人です。

 

相続のケースによっては遺言執行者を選任する必要性が高いほか、選任しなければならないケースもあります。

 

今回の記事では、遺言執行者はどんな任務があるのか、選任するメリット・デメリット、選任した方が良いケースなどを具体的にご紹介したいと思います。


目次


1、意外に知られていない遺言執行者という制度

せっかく遺言書を書いても、遺言の内容が実現されなければ遺言書を書く意味がありません。

 

遺言者は、自分にもしものことが起きた場合に残された家族が不安に思うのではなく安心してこれからも仲良く暮らしていってほしいという想いを込めて作成すると思います。

 

しかし自身が亡くなってしまうと、その想いが実現されているかを現実の世界で知ることはできません。

  • この遺言書の存在に気付いてくれるかどうか
  • 遺産の分け方で家族が困ることにならないか
  • スムーズに手続きを進めてくれるだろうか

遺言執行者という制度はそんな不安を解消してくれる制度なんです。

 

2、遺言執行者について

遺言執行者というのは、シンプルに言うと

 

“遺言の内容を実現するために相続関連の手続き一切をしてくれる人”です。

 

相続手続きの内容によっては遺言執行者を選任する必要性が高いケースや、逆に選任しなければならないケースもあります。

 

それでは遺言執行者が具体的に何をしてくれるのかを見ていきましょう。

 

‣遺言執行者とは

繰り返しになりますが、遺言執行者とは遺言書に書かれた内容を実現するために、相続関連の手続きを行う人を言います。

 

遺言執行者に就任した場合、被相続人(=亡くなった人)が作成した遺言の内容にしたがって、遺産を分けたり相続の登記をするなど、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行います。

 

民法では、遺言執行者は遺言の内容を実現するために、遺産の管理など遺言の執行に必要な一切の行為をする権利と義務があると規定されています。

 

具体的には

  • 遺産の調査(財産目録の作成)
  • 遺産の管理や処分
  • 預貯金の解約
  • 不動産の登記

一例ですが主なところでいうと上記になります。

 

‣どんな人が遺言執行者になるか

遺言執行者を選任する方法としては、

  • 遺言で指定する
  • 家庭裁判所に選任してもらう

この2つの方法があります。

 

遺言によって指定する場合は、未成年者など一定の欠格事由にあてはまる場合を除けば、基本的に誰でも遺言執行者になることができます。

 

したがって、相続人・親族・友人知人・弁護士などの専門職といった人を指定することができます。

 

ただし指定された人は、その就任を断ることもできますので強制力はありません

 

遺言で遺言執行者を指定する前には、本人からあらかじめ同意を得ておくことが大切なポイントになります。

 

また、家庭裁判所で選定してもらう場合は、候補者を推薦することは可能ですが、必ずその候補者が選ばれるとは限りません。

 

家庭裁判所の判断で、別の人が遺言執行者として選任される可能性もあります。

 

3、遺言執行者を選任するメリット・デメリット

遺言執行者は必ず選任しなければならないものではありませんが、選任しておくことで遺産をきちんと管理してもらえるようになるというメリットがあります。

 

一方で、相続の手続きがあまり詳しくない人が遺言執行者に就任してしまうと、かえって手続きに時間がかかりスムーズに進まなくなってしまうという可能性もあります。

 

‣遺言執行者を選任するメリット

遺言執行者を選任する主なメリットは、遺産をきちんと管理してもらえるようになることです。

 

遺産をめぐるトラブルとしては、被相続人の金銭を勝手に使われてしまったり、土地や建物を勝手に処分されたりなどが考えられます。

 

そうしたトラブルにならないように信頼できる人を遺言執行者にしておけば、遺産をきちんと管理してもらえるようになるので大きなメリットと言えるでしょう。

 

‣遺言執行者を選任するデメリット

遺言執行者を選任する主なデメリットは、相続手続きがあまり詳しくない人が就任してしまうと、執行者としての任務がきちんと行われない可能性があることです。

 

遺言執行者の任務というのは、相続人を確定や不動産の登記など、相続手続きに関する知識や経験がなければ対応が難しい場面もあります。

 

手続きにあまり詳しくない人が執行者に就任した場合、任務がきちんと行われないことで、かえって相続手続きがスムーズに進まない恐れがありますので注意が必要です。

 

4、遺言執行者を選任した方が良い5つのケース

遺産の規模が大きく手続きが複雑になる場合などは、遺言執行者を選任する必要性が高くなります。

 

また、遺言による認知や相続人の廃除をする場合は、遺言執行者を選任する必要があります。

 

‣遺産の規模が大きい

遺産の規模が大きい場合は、遺言執行者を選任する必要性が高くなると言えます。

 

被相続人が生前に多くの不動産や預貯金の口座を持っていいると、複数の不動産の名義変更や預貯金の解約をすることになりますので、どうしても手続きが複雑になります。

 

遺言執行者を指定しておけば、相続に関する手続きを基本的に単独で実行できるようになるので、複雑な手続きをスムーズに進めやすくなります。

 

‣相続人以外の第三者に遺産を渡したい

遺言で相続人以外の第三者に財産を渡すことを「遺贈(いぞう)」と言います。

 

例えば、相続人以外の第三者に不動産を遺贈する内容が遺言にあった場合、この遺贈の登記をするためには、相続人全員が登記義務者となり名義変更手続きを行わなければなりません。

 

そうなると相続人全員の協力を得られず手続きが進まない可能性があります。

 

このようなケースでは遺言執行者が選任されていれば、遺言執行者が単独で名義変更の手続きが実行できますので、手続きの負担は大幅に軽減されるはずです。

 

‣相続人の中に相続手続きに非協力な人がいる

上記の例も一例ですが、遺言によって不利な相続人がいる場合など、様々な事情で手続きに協力してもらえない相続人がいるケースでは、相続がなかなか先に進まないという事態にもなりやすいです。

 

 遺言執行者を選任しておけば、協力しない相続人の関与なく単独で必要な手続きが行えるので、トラブルを防止しつつ早期に手続きを行えることになります。

 

‣遺言で「認知」「相続人の廃除」をする

認知というのは、法律上の婚姻関係によらずに生まれた子を、自分の子であると認める行為を言います。

 

法律上の婚姻関係によらず生まれた子については、父親と法的な親子関係を成立させるには認知の手続きが必要になります。

 

この認知は遺言によってもすることができますが、遺言執行者を指定する必要があります。

 

また、相続人の廃除というのは、相続させるべきではないと思われる一定の事情がある相続人に対して、相続権を失わせる制度です。

 

一定の事情というのは被相続人への虐待や重大な侮辱をした場合、その他著しい非行があった場合です。

 

申立て手続きは家庭裁判所に対して行います。

 

被相続人が亡くなって相続が発生すると、家庭裁判所に相続人の廃除の申立てをしますが、申立てができるのは遺言執行者に限られています。

 

つまり遺言によって相続人の廃除をするには、遺言にその旨を記載することと、遺言執行者をあらかじめ指定しておかなければなりません。

 

‣相続手続きの負担を家族にかけたくない

遺産の規模が大きい場合はもちろんですが、規模が小さくても相続の手続きというのは何かしらの負担をかけてしまうものです。

 

そうした負担を家族にかけたくない場合は、遺言執行者を選任する必要性は高まります。

 

遺言執行者がいない場合、相続手続きの必要書類の収集や、遺産の名義変更、解約など、様々な手続きを相続人が自分たちでしなければなりません。

 

遺言執行者を選任しておけば、手続きを基本的に単独で行えるようになるので、相続人である家族に負担がかかりにくくなります。 

 

ただし、手続きに詳しくない相続人を遺言執行者に選任してしまうと、その人だけに重い負担がかかってしまうので、慎重に決めましょう。

 

相続手続きについて家族に負担をかけたくない場合は、相続専門の士業などを遺言執行者に指定するという方法もあります。

 

5、まとめ

遺言執行者というのは、遺言の内容を実現するために、遺産の管理や預金の解約など、相続に関する諸手続きを行う人を言います。

 

相続の状況により遺言執行者を選任する必要性が高いケース、また遺言によって認知をするなど一定の場合には、遺言執行者を選任しなければならないケースもあります。

 

相続手続きが複雑な場合などは、専門家に依頼して遺言執行者になってもらうことで、相続手続きをスムーズに進めやすくなります。

 

遺言の作成・遺言執行者就任なら当事務所へご相談ください

当事務所は、京都市を中心に関西全域で、遺言書の作成支援をしている行政書士事務所です。

 

ご相談者様のご意思をしっかりとお聞きした上で、円満相続になる遺言書案をお作りするとともに、戸籍や登記簿等ややこしい必要書類もすべて当事務所行政書士が代理取得いたします。

 

公正証書での作成をご希望の場合は公証人とのやりとりも全て当事務所が行いますのでご安心ください。

 

また遺言執行者の就任も賜ります。

 

遺言書の作成は遺言者の想いや家族構成によって表現方法が異なりますので、確実に遺言を作成したいとお考えの方は是非ご相談ください。

 

ご相談予約は「下記フォーム」か「お電話」からお待ちしております。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

行政書士はやし行政法務事務所

代表行政書士 林 宏雄

 

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