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妻が亡くなったら検討しておきたい見守り契約

目次


夫が先に亡くなるとは限りません

当事務所は遺言書の作成支援をさせていただいておりますが、ご相談に来られる多くの場合は夫が亡くなった後に財産を妻や子供にどのように遺していくかという内容です。

それはそれで大切なことなのですが、人の命は統計通りにはいきません。年上である夫が先に亡くなるとは限らないですね。

 

生前に遺言書をはじめとする生前対策をしっかりとお考えのご夫婦は別として、何も対策をしていない中で配偶者が亡くなった場合、子どもや頼れる親族が近くにおらず特に妻が先に亡くなってしまったような場合、いわゆるおひとりさまになってしまうことも当然に考えられます。

 

家のことをほとんど妻に任せてきてそのような状況におかれた場合、これから一人で生活していくのは容易なことではありませんし、そもそも人は一人では生きていくことはできません。なぜかというと、社会の中で生活しているからです。衣・食・住を維持していくためには人や地域のつながり、行政などとの関わりを持ちながら生活していきます。

 

おひとりさまになった後、そうした多種多様な関わりを持っていくことが徐々にわずらわしくなっていくこともあるかもしれません。

 

おひとりさまへの見守り契約のススメ

大きなくくりでいう見守りサービスには、自治体によるサービスや企業等の訪問サービス、見守り家電製品などがあります。宅配事業者の特性を活かした簡易的な見守りサービスもありますが、しっかり対面で会話をすることが可能な「見守り契約」もあります。

 

 見守り契約というのは、支援する人が定期的に訪問や電話を通じて直接連絡を取り、健康状態や判断能力、生活状況の変化などを確認する契約です。

 

委任先は弁護士や行政書士などの法律専門職であったり地域の社会福祉協議会などさまざまです。多くの場合、長い目で見た任意後見契約死後事務委任契約セットで契約し、これらをスタートさせることも目的の一つとされています。

 

また孤独死を防ぐという点からも制度利用の意義があるといえます。そうした意味でおひとりさまや身近に頼れる親族・知人がいないというような人を中心に利用が広がっている現状があります。

 

見守り契約ではどんなサポートが受けられるのか

それでは具体的にどのようなサポートを受けることができるのでしょうか。

見守り契約は法律で規定されている契約ではありませんので、契約の内容は見守りをお願いする側、される側で自由に決めることができます。

一般的なサポートの内容としては以下が挙げられます。

  • 定期的な電話連絡や自宅訪問(←これが基本になります)
  • 病院への付き添い
  • 緊急時のかけつけ
  • ご家族への健康状態などの報告

しかし見守り契約単体では万能とはいえません。

例えば、身の回りの世話はお願いすることができませんし、訪問のついでに買い物を頼んだり家の掃除やご飯の準備などはデイサービスのヘルパーさんにお願いして頂くことになりますので、こうした点には注意が必要です。

 

起点としての見守り契約

生前対策として機能する各種契約は様々なものがあります。見守り契約もその一つですが、その他には財産管理委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約などがあります。それぞれに特徴が分かれており内容も異なります。

 

財産管理等委任契約

判断能力はあるが、足腰が弱くなった場合に、預貯金の入出金管理や各種支払いなど財産管理を委任する契約。

(関連記事:「財産管理委任契約」を活用すべき具体例などポイント解説

 

任意後見契約

判断能力の低下がみられるようになった後に、財産管理や契約締結などの法律行為を本人に代わって行う契約。

(関連記事:将来の安心を支える任意後見制度について手続や流れを解説

 

死後事務委任契約

本人が亡くなった後に、死亡届の提出・葬儀費用等の支払い・公共料金の精算や解約などを行う契約。

(関連記事:遺言では不完全!?おひとりさまにお勧めする「死後事務委任」

 

遺言執行

生前に遺言書を作成していてその中で遺言執行者を指定している場合に、遺言を実現するために一切の手続きを行える契約。

(関連記事:遺言書を作成するなら遺言執行者を指定した方がよい理由

 

これらの契約によって生前や死後における意思決定や手続きが行われますが、その契約内容をいつ始めるのかというタイミングを判断しなければなりません。本人自身が判断能力の低下がみられるようになってからでは、法律行為自体ができない可能性が高いため(仮に出来たとしてもその行為は取り消しの対象になります)、見守り契約は、その「起点としての役割を担うことになります。

 

大切なのはご自身の生活に安心感を持てること

妻が先に亡くなってしまった夫がおひとりさまである場合に考えられることとして、近所の人とコミュニケーションをとらない、仕事以外で行くところがない、外に出かけずに一日中家でゴロゴロしているという方も少なくありません。

 

そして男性は誰かに困りごとを相談したり、助けを求めることを苦手としている傾向がありますので、生活をしていても徐々に不安が溜まっていく人も多いのではないでしょうか。

 

そうした不安はできるだけ早く取り除いて、安心して生活ができるよう見守り契約を活用してこの先に備えておくことは大きな意義があると思います。もちろん誰とでもできる契約ではあっても信頼できない人とは絶対に契約してはいけませんが、行政書士や弁護士など法的手続きを生業としている専門家などにご相談する中で、その人柄などにも触れた上で契約されるとよいと思います。

 

見守り契約なら当事務所へご相談ください

当事務所は、京都市を中心に関西全域で、見守り契約や遺言書の作成支援をはじめとする生前対策や相続のご相談を専門にしている行政書士事務所です。遺言執行者の就任もお受けいたします。ご相談者様の状況を丁寧にヒアリングしながら、どうしたら安心して生活ができるかを一緒に考えながら、最適な生前対策をご提案させていただきます。

まずはご希望やお困りごとなど何でもお話し頂ければと思いますので、お気軽にご相談ください。

案件によっては税理士や司法書士などの他士業とも連携しながらご相談者様の希望を形にいたします。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

行政書士はやし行政法務事務所

代表行政書士 林 宏雄

 

日本行政書士会連合会(第17271844号)

京都府行政書士会会員(第2655号)

 

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