皆さまこんにちは。
行政書士の林です。
今日は、某観光船沈没事件のニュースの中で、無線使用に関する国からの行政指導という話題がありました。事件そのものというよりは、行政指導というフレーズを目にしたので、そのことについて触れてみたいと思います。
言葉としては聞いたことがある方は多いと思います。
行政による指導のことと言ってしまえばそれまでですが、もう少し詳しくご紹介してみたいと思います。
行政指導とは
行政書士試験では当然必須科目の「行政手続法」に定められています。
行政指導とは
行政機関が任務又は所掌事務の範囲内において行政目的を実現するため特定の者に作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。(行政手続法2条6号)
もう少しかみ砕くと、役所は特定の人や事業所などに対して、社会のルールに抵触している又は可能性があるから○○した方がいいよ、□□するのは止めた方がいいよ、というようなアドバイスをすることです。
そして、「処分に該当しないもの」とありますが、処分についても定義されています。
処分とは
行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。
不利益処分とは
行政庁が法令に基づいて特定の者を名あて人として、直接に義務を課し、権利を制限する処分をいいます。
義務を課したり権利を制限するということはかなり強い公権力の行使ですよね。
行政指導の一般原則
行政手続法には、行政指導についての一般原則の他、役所への申請に関連する行政指導や、許認可等の権限に関連する行政指導についても規定していますが、今回は一般原則の部分についてご紹介したいと思います。
ポイントをしぼると以下2点になります。
- 行政庁はあくまで相手方の任意の協力によってのみ実現されること
- 指導に従わないからといって不利益な取り扱いをしてはいけないということ
つまり、強制力はない(=任意)ということになります。
任意ですから、私は(私たちは)何も問題ないと思っているので指導に従いません、と言うこともできますし、指導に沿って改善していくのも自由です。先ほどの「処分」との決定的な違いはここにあります。任意は“職務質問”で、処分は“逮捕”のような感じですね。
行政指導について大まかにイメージして頂けましたでしょうか。
ニュースからの所感
大昔では確かに行政の力が強すぎて国民の権利や義務に直接影響を与える行為があって、そういう歴史を繰り返さない為にも法律で行政側に制限をかけているといえます。
現代において実際の場面を考えるとどうでしょうか。何も全く原因が無いのに指導が入るということは通常考えられません。そしてこの世の中はすべて原因と結果の世界だと思っています。
行政指導があった時にどのように受け止めるかは先に述べた通り自由なのですが、その人や事業所が未来に向けてこれから歩んでいくにあたり、今のままでいいかと考えるのか、今後どのように改善していくのかという視点で現状を受け止めるか、ということは大きな分岐点になると私は思います。
というわけで、今日は遺言や相続とは全く関係のない話題ですが、行政書士としてピンときた行政指導について取り上げてみました。
最後までお読みくださりありがとうございました。
行政書士はやし行政法務事務所
代表行政書士 林 宏雄
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