作成:2023.4.21 更新:2024.4.1
大切な人が亡くなると、悲しみに暮れる暇もなく、大変多くの事務手続きが生じ、困惑される方も多いのではないかと思います。
とはいえ、死後の手続きとしてやるべきことが明確になっていれば、それだけで不安が軽減され、案外スムーズに手続きが進められます。
今回は、夫(妻)が亡くなったらまずやるべき手続きについて押さえて頂ければと思います。
目次
1. 死亡届の提出
死亡届は【死亡診断書】とセットになっています。死亡を確認した時点で【死亡診断書】は医師が作成し、【死亡届】はご遺族が記入します。必要事項の記入が終われば役所に届出をします。これによって死亡した事実を役所が把握し、その人の戸籍に死亡が記載されることになっています。
提出期限は法律で「死亡の事実を知った日から7日以内」と定められていますので、期限内に届出人が提出しましょう。
※届出人というのは、同居の親族、その他の同居者、家主などです。
この死亡届と同時に【火葬許可申請書】を提出し、受理されると火葬許可証が交付されます。
ただ、実務上死亡届や次に説明する火葬許可申請書は葬儀社が代行して行ってくれることが多くなっていますので、まず葬儀社に確認してみるとよいでしょう。
手続きの注意点としては、【死亡届】や【死亡診断書】は他の手続きで使用する場合が多いため、10部程コピーをとっておくとよいと思います。
期限 | 7日以内 |
提出先 | 故人の死亡地、本籍地、または届出人の所在地のある市区町村 |
必要書類 | 医師が作成した死亡診断書、届出人の印鑑など |
2. 火葬許可申請書
葬儀が終わると一般的には火葬して埋葬することになりますが、そのための許可証を発行してもらわなければなりません。
役所によって【火葬許可証】や【埋火葬許可証】など名称が異なる場合がありますが、火葬の際にはその許可証を提出します。
火葬が終わりましたら火葬済の証明を受け取ります。
納骨の際にはこの火葬済の証明書が必要になりますので、それまでは大切に保管しておきましょう。
期限 | 7日以内 |
提出先 | 死亡届を提出した市区町村役場(市民課など) |
必要書類 | 役所に設置されている用紙など(死亡届のみでよい役所もあります) |
3. 健康保険の手続き
日本では健康保険といっても下記のように様々な種類があります。
- 自営業や主婦の場合・・・国民健康保険
- 会社員の場合・・・健康保険組合、協会けんぽ
- 公務員などの場合・・・共済組合
会社員や公務員などの方は勤務先に死亡の事実を伝えると手続きを行ってもらえるため、ここでは国民健康保険加入の場合の手続きについてご紹介します。
4. 国民健康保険証の返却
死亡後14日以内に市区町村役場で資格喪失のお手続きと保険証を返却します。
期限 | 14日以内 |
提出先 | 故人の住所を管轄する市区町村役場(保険年金課など) |
必要書類 |
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備考 |
故人が国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入されていた場合は、葬祭費用の一部負担として市区町村より葬祭費が支給されますので手続きを行いましょう。 ※同市区町村役場の保険年金課が窓口になり、「葬祭費支給申請書」が設置してあります。 |
5. 介護保険の資格喪失手続
手続きが必要になるのは、下記の方になります。
- 第1号被保険者(65歳以上の人)
- 第2号被保険者(40歳以上65歳未満の人)のうち、要支援・要介護認定を受けている人
介護保険を納めていた人が亡くなった場合、介護保険料は月割りで再計算されます。
再計算によって介護保険料に変更があった場合、役所より【介護保険料変更決定通知書】が送付されます。
このとき、介護保険料が
- 納めすぎとなった場合には、相続人に対して返金(還付)される
- 不足するとなった場合には、相続人が不足分を納付する
こととなります。
介護保険料を納めすぎていた場合
役所から還付通知書が届きます。これに必要事項を記入して返送すれば、納めすぎていた介護保険料が還付されることになります。
<注意点>
- 還付手続きをしないと自動的には還付されない
- 介護保険料の還付金の請求権は、2年で消滅します。
介護保険料が不足していた場合
還付がある場合と同様に、役所から通知が届きます。不足の連絡が来た場合は必ず相続人が納付するようにしましょう。
期限 | 14日以内 |
提出先 | 故人の住所を管轄する市区町村役場(介護保険課) |
必要書類 |
・介護保険資格喪失届(窓口設置) ・被保険者証 |
6. 世帯主変更届
世帯主変更届とは、世帯主が死亡した際に役場へ届け出る書類のことです。亡くなった世帯主から、新しい世帯主へと登録変更をするために行います。この世帯主変更届は、世帯主が死亡してから14日後までに提出しなければなりません。
しかし世帯主となる人物が明瞭である場合や、世帯主にふさわしい人物がいない場合は、届出がいらない場合もあります。
例えば夫婦2人で1世帯を形成していた場合、夫が亡くなった際は妻が世帯主になることが明確なので、届出は必要ありません。また15歳未満の子どもは、世帯主になることはできません。そのため夫婦に15歳以下の子ども1人の家族だった場合も、届出は必要ありません。
期限 | 14日以内 |
提出先 | 故人の住所を管轄する市区町村役場(市民課など) |
必要書類 |
・住民異動届(窓口設置) ・本人確認書類(運転免許証など) |
7. 年金受給の停止
国民年金、厚生年金、いずれも年金事務所で手続きを行います。市区町村役場ではありませんのでご注意ください。
期限 |
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提出先 | 年金事務所または街角の年金事務センター |
必要書類 |
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未支給年金があるとき
年金は偶数月の15日に前2ヶ月分が支給されることになっています。年金受給者が死亡した場合、未支給年金請求手続きにより、死亡月までの年金を遺族が未支給年金として受給できます。受給できる遺族の順番としては
配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹→それ以外の3親等の親族
ただし、受給要件として、故人と生計を同じくしていた親族であることが必要になります。未支給年金請求が可能な場合は年金受給権者死亡届とあわせて未支給年金請求手続きを行いましょう。
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行政書士はやし行政法務事務所
代表行政書士 林 宏雄