戸籍法の改正により、これまで戸籍に記載のなかった氏名の「読み仮名」が記載されることになります。詳しくは今後法務省から通達で示されますが概要についてご紹介します。
目次
戸籍の役割とは
- 家族関係を明らかにすること
- 身分関係を明らかにすること
- 日本人であることを明らかにすること
戸籍には上記のように3つの役割があります。 何か特定の事項を ”明らかなものとして証明する” ことを法律的には “公証する” といい、この機能のことを「公証機能」と呼んだりします。
一般的にいう戸籍謄本というのは正式には「戸籍全部事項証明書」と呼び、市区町村などの自治体が家族関係、身分関係、日本人である事実を「公(おおやけ)に証明してくれる証明書」ということになります。
◆ 家族関係を明らかにする役割とは ◆
戸籍の最も代表的な役割は、家族・親族関係を記録し、証明する役割です。自分の両親が誰か、配偶者(夫・妻)が誰か、兄弟が誰か、子供が何人いるのか等、正確な家族関係が記録されている台帳の役割があります。相続手続で戸籍謄本が必要書類になる理由は、戸籍にこの家族関係を証明する機能があるからです。
◆ 身分関係を明らかにする役割とは ◆
戸籍には家族関係だけではなく、身分関係を証明する役割もあります。日本は身分制度を採用していませんので、ここでいう「身分」とは身分の高い低いではなく、その人が「どんな人なのか」を証明してくれる身分証明書という意味です。子供が生まれたとき、出生届は最寄りの役所に提出しますが、同時に戸籍を管理する本籍地の役所にも連絡がされ、そのときに初めて子供は戸籍に国民として登録され、日本国民としての「身分」を取得することになります。
◆ 日本人であることを明らかにする役割とは ◆
戸籍には日本の国民であることを証明する役割もあります。戸籍に国籍が書いてあるのではなく、日本の戸籍に登録されることが日本国民であることの証明になっていて、日本人でなければ日本の戸籍に入ることができません。外国人でも住民票はある一方、戸籍はないことにはこの役割があるからなのです。
(参考記事「戸籍はどのように作られるか」)
(参考記事「遺産相続と戸籍」)
戸籍に記載されていること
令和5年6月現在で、戸籍に記載されているのは下記事項になります。
- 本籍(戸籍を管理している市町村)
- 筆頭者(戸籍簿の一番最初に記載されている人)
- 在籍する人の氏名と生年月日
- 戸籍に入った原因と年月日
- 続柄(父母、子など)
- 身分事項(出生日や婚姻日など)
戸籍法の改正により「読み仮名」も記載されることに
戸籍にこれまで記載がなかった氏名の「読み仮名」を必須とする改正戸籍法などが2日、参院本会議で、自民、公明など各党の賛成多数で可決、成立しました。改正法は令和6年度にも施行され、われわれ国民が施行後1年以内に本籍地の市区町村に届ける必要があります。
読み仮名のルールとしては「氏名に用いる文字の読み方として一般に認められているもの」との基準を設けられます。
「一般に認められている」の基準の詳細は法務省が今後、通達で示すことになっていますが
- 漢字とは意味が反対(「高」(ヒクシ)など)
- 読み違いかどうか判然としない(「太郎」(ジロウ))
- 漢字の意味や読み方からはおよそ連想できない(「太郎」(マイケル))
といった読みは認められないと考えられます。
記載は片仮名で、新生児らが初めて戸籍に載る際はあわせて読み仮名を記すことになります。その他の者に関しては戸籍筆頭者が氏名、筆頭者以外が名前に関して届けます。
市区町村は住民票などで既に把握している読み仮名を通知することとしており、1年以内に届けがなければ職権で記載するようです。
常用漢字表や辞書に掲載がない読み方の場合も、届け出人に説明を求めた上で判断されることになりそうです。
まとめ
住民票に読み仮名が降られている場合は自ら届出をしなくても、職権で記載されるからほっておいてもいいや、とお考えの方もいるでしょうが、もし間違った読み仮名が戸籍に登録され、自分の名前でありながらそれを知らずにずっとそのままだと問題がありますね。いずれにしてもタイミングをみて新しくなった戸籍を確認してみる必要がありそうです。
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